マニュアルなど無い、全てゼロから作り上げた今年の音楽祭。
 
 大学3年生は、他の授業も忙しい、バイトも忙しい、就職を見据えたインターンシップもせねばならないなど、一見自由に見えますが漠然とした不安の中にいます。
過去4年間、西川町の廃校で実施してきたイベントを、様々な理由から(一番は学生の往復時の安全面)山形市七日町に舞台を移し、前例がないことを行う不安感と緊張感。
 企業に訪問し、出演アーティストも決まらない中で協賛のお願いを行う学生。緊張しながら、自作の台本を片手に電話をかける学生。普段使わない敬語でメールを試行錯誤しながら作る学生。テントを借りるために市内小中学校を奔走する学生。商店街を装飾するために、ミシンを持ち込んで作業する学生。コスト削減のためにアイロンプリントでTシャツを作る学生。騒音問題をどのようにクリアするのか悩む学生・・・。リハーサルなどを行う余裕も時間もありませんでした。
 
 当日、全ての不安を消し去るような青空と温かな日差し。
 その太陽の下で、駅前や駐車場の案内、トイレ掃除など、見えない所で格闘していた多くの学生達がいます。学生の数だけドラマがあり、私はそれを近くで見つめていたに過ぎません。
 
 街の人から「もっとこういう風にしたほうが良いのでは?」「なんでもっとこうしなかったの?」という声を頂いたと聞きました。なんと有り難いことなのでしょうか。「自分事」として捉え始めているからこそ、そういった言葉をかけてもらえたともいえます。それだけでも、オトナルヤマガタを実施した意味がありました。「今度はうちの店の前のスペースを使ってよ」というコメントには、思わず涙しました。
 
 マニュアルをただこなすことは単なる作業であり、そこから学ぶことは少ない。失敗しても良いからまずは動いてみる事と、繰り返し言い続けてきました。
 準備に明け暮れた7ヶ月の日々で、何を学んだのかは自分次第。
 一つだけ言えることは、「あれだけのことをやったのだ」と、いつか振り返ったときに初めて「自信」を感じ、それが卒業後の糧になるということです。
 
 最後に、大学関係者(特に副手の松田さん、渡部さん、教学事務室の朝倉さん)、文翔館及び市役所関係者、協賛にご協力頂きました企業・商店等の方々、七日町を中心とする街の方々、その他オトナルヤマガタに関わった皆様、ご迷惑を多々おかけいたしましたが、温かく見守っていただきましたこと、改めて御礼申し上げます。
 これからも続く学生達の挑戦にご期待下さい。
 

nikki_45

 

 企画構想学科 2016年度 プロデュース演習/ディレクション演習
担当教員 本吉裕之